アドテクは衰退し、マーケティングテクノロジーの時代が到来する?

一時バズワードとなった「アドテク」。


これまで存在していなかったプレイヤーとしてDSP/DMPなどの様々なベンダーが、テクノロジーを活用した広告配信の最適化を行うプロダクトを提供し、その効果に期待した広告主達がこぞって、アドテクノロジーを活用した広告配信に期待を寄せた。


実際にそういったプロダクトを用いて、広告効果を上げ、きちんと活用できている会社は多々あると思う。


ただし、一時期ほど、「アドテク」という言葉は聞かなくなり、代わりにより広範囲な定義として使われる「マーケティングテクノロジー」という言葉を次は聞くようになっている。



本当に「アドテク」ブームは終わったのか?



実際にアドテクの本場アメリカでも、Tech Crunchの記事で、


VCや株式市場の一般の投資家は「アドテク」という言葉を聞くと怖気づいてしまう。それも無理はない。この分野には無数のアドネットワークが乱立して飽和状態の上、IPO後の成績も芳しくないからだ。Rocket Fuelの株価は、2013年9月にIPOを実施した時から80%も下がっている。Millennial Mediaもその前年に株式公開しているが、94%下がっている。
引用元:http://jp.techcrunch.com/2015/05/15/20150514ad-tech-is-dead-long-live-marketing-tech/


とのコメントを記載していたり、Exchangewireの記事でも、


驚異的な成長にも関わらず、アドテク(広告技術)業界は、マーケティングテクノロジー(マーケティング技術)の姉妹業界で、どちらかと言うとマーケティングテクノロジーよりも魅力に欠ける業界として考えられている。
近年、アドテクが実際に注目を引く時は、間違った理由の場合が多い。その例として、IPO以来80%株価が下落した多くの企業、投資の枯渇、合併の利点を説くアナリストたちの自信の欠如などが挙げられる。

引用元:http://www.exchangewire.jp/2015/07/21/interview-captify-martech/


と言われているように、アドテク業界は魅力に欠けてきていると言われている。


これは投資家の側面ではある種正解であろう。

ただ、あくまで投資家の側面では、である。


これまでなかった革新性に基づいた急角度で伸びる成長性こそが、投資家の評価の最も重要なポイントである。


「アドテク」という定義の誕生から時間がたち、マーケットも成長段階から成熟段階に入れば、あとは限られたパイのシェア争いや(といっても市場はまだまだ成長し続けているが)、統合、淘汰が進むのは至極当たり前である。


これは「アドテク」が死んだわけでも衰退したわけでもなく、ただ投資家目線での投資判断としての評価が以前に比べて下がったということに過ぎない。


これから企業のデジタルマーケティングがより進むとともに、アドテクを活用した消費者とのコミュニケーションの最適化はまだまだ促進されるはずだし、技術だってより洗練されていくはずである。


じゃあマーケティングテクノロジーってなに?

一方で、マーケティングテクノロジーというワードが出てきているのは、「アドテク」の延長線上、発展系として登場している。


アドテク=テクノロジーを活用した「広告配信」の最適化
マーケティングテクノロジー=テクノロジーを活用した「ユーザーコミュニケーション全般」の最適化


と定義できる。


アドテクでは、RTB/DSPのテクノロジーを使って、広告枠ではなく、そのメディアを閲覧している「オーディエンス」単位での売買、価格の最適化、オーディエンスに合わせたクリエイティブの配信を主としている。

すなわち、広告枠における話が中心である。


それに対してマーケティングテクノロジーでは、マーケティング担当者やマーケティング部門の日々の業務を助けるあらゆる種類のソフトウェア、プラットフォーム、データベース、インターフェースを支えるテクノロジーのことである。

その中には、CRMプラットフォームやシステム、CMS、分析パッケージ、データ管理プラットフォーム、視覚化ツールがあり、広告枠だけに留まらないより広範囲の概念である。


これは、アドテクによりデジタルマーケティングのプロモーション領域が進化し、次はデジタルマーケティングの進化に伴い、より広範囲な領域でテクノロジーが必要とされている証拠である。

これからは、「アドテク」によるプロモーション領域の最適化だけではなく、データを起点にしたマーケティングテクノロジーでマーケティング領域全般の最適化が進んでいくはず。


最近では「マーケティングオートメーション」が次のトレンドワードになってきている。


もっともっとテクノロジーを活用した企業のデジタルマーケティングは進化していってほしい。